蕎麦がき善哉

きのう、友人と一緒に奈良・薬師寺で行われた音楽コンサートに出かけました。
えっ、お寺でコンサート!?ってお思いになるかもしれませんが、いま奈良では「ムジークフェスト・なら」と銘打った音楽イベントが催されており、奈良のあちこちの社寺やホール、カフェや駅前広場などで演奏会が開かれているのです。
私達が聴きに訪れたのは二人の女性演奏家によるハープとフルートの演奏会。
それはそれは、こっくりこっくり眠りに誘われるほど夢のように美しい演奏でしたが、途中、箜篌(くご)という、いわばハープのご先祖様のような古代中国の弦楽器も演奏され、暫し千三百年前のいにしえの音色に浸り、古代のロマンに酔いしれたのでありました。
さて、音楽の色気を楽しんだあとは、やはり食い気でしょう!ということで、薬師寺と唐招提寺を結ぶ道の途中にある、お蕎麦屋さんに入りました。
ここのお蕎麦は福井県のそば粉を使った細打ちの十割そば。私は「ざる蕎麦」を、友人は「辛過ぎないかしら」と不安そうな表情を浮かべながらも「辛味大根のおろし蕎麦」を注文。
そば粉の自然な味わいを堪能しつつ、とても美味しくいただいたのですが、そこで他のお客さんが注文する「おぜんざいください!」の声に、甘味好き、とくにぜんざい大好きの我々ふたりは激しく反応。次の瞬間には声を合わせて「ぜんざいふたつ〜」と頼んでしまっておりました。
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Canon EOS 5D Mark III + SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM〈2枚とも〉
写真がそのおぜんざい。
じつは椀に入っているのはお餅でも団子でもなく、お蕎麦屋さんらしく「蕎麦がき」です。素晴らしい。
淡白な味の蕎麦がきと、ねっとりしたあずきが醸す絶妙のハーモニー。品よく拵えられた日本庭園を眺めつつ、心豊かに安らぐ時間を過ごせました。
善き哉、よきかな。ああ、幸せだなぁ。
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都市の子宮

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Canon EOS 5D Mark III + Canon EF 16-35mm f/2.8L〈以下すべて同じ〉
都市が音を立てて変わりゆく姿として数日前に梅田・大阪駅前の写真をエントリーしましたが、大変身の真っ最中ということでは阿部野・天王寺も負けてはいません。建設中の「あべのハルカス」は、完成すれば地上300m日本一の超高層ビルとなるそう。それをランドマークに据え、街の姿は激変しつつあります。
しかし、JR天王寺北側には、いまでもこんな昭和の香りが濃く漂う飲み屋街が残っていたりします。
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撮影は日曜日の正午過ぎ。ここは飲み屋さんばかりなので昼間はほとんどの店が閉まっており、通る人影もまばら。アーケードの天井にはテント地が張られ、日に焼けて変色したそれは商店街全体を、琥珀色にも似た柔らかな黄色い光で満たしていました。
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すこし暑い日でしたが、アーケードのおかげで商店街の中は涼しく、街の喧噪も遮られ嘘のように静まり返って非現実な雰囲気。
その時ふと「子宮の中にいるみたいだ」なんて空想が浮かんできました。
そこかしこにある「公衆トイレ」の看板の意匠に魅力を感じ、何度もカメラに収めました。文字が何ともいえない存在感を放っています。
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昼間はこんなに殺風景で寂しいアーケードですが、夜になればきっと沢山の飲み客で賑わい、さまざまな色の光に満たされるのでしょう。
人々を温かく迎え、そのこころを揉みほぐして「さ、明日からも元気に生きるぞ!」なんてふうに意気を育ててくれるのですから、ここはまさに「都市の子宮」なのかもしれません。

話す犬

今週のお題「私のアイドル」
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Canon EOS 5D Mark III + SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM
いえいえ、このワンちゃんがしゃべるわけではないのです。
昨夜「細野晴臣アーカイヴス vol.1」というアルバムを買いました。
音楽関連のWebサイトを転々としているうちiTunes storeにたどり着き、試聴して衝動的に。
〈「細野晴臣アーカイヴス vol.1」の試聴ページ〉
本日のタイトルは14曲目から頂戴いたしました。
細野晴臣というミュージシャンは、YMOの頃から私の、いわばアイドルでありました。彼の音楽を買ったのは久しぶり。このアルバムも発売からかなりの年月が経っていました。
さっそく聴き込んでおりますが、自分は細野さんの音楽がやっぱり好きだってことを再認識した次第。うまく表現するのは難しいですが「身体に合う」という感じでしょうか。遊びと洒落ごころも満載。エスニックでエキゾチック。実験的で神秘的。なのになぜか気分がほぐれて寛げる。私にとっては、時間を忘れて百科事典の頁を次々めくるような楽しさがあります。触れればすぐに、不思議な空想世界に飛んでいけるのです。
この心地よさ、しばらく忘れてました。

これから咲くよ。

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Canon EOS 5D Mark III + Canon EF 16-35mm f/2.8L
まだまだ、つぼみ。
とても控えめなすがたです。
もっともっと、これから咲いていくのでしょう。
紫陽花はまるでスローモーションの打ちあげ花火。
ゆっくりと大輪に咲きひろがっていきます。
楽しみに待ちましょう。