都市の子宮

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Canon EOS 5D Mark III + Canon EF 16-35mm f/2.8L〈以下すべて同じ〉
都市が音を立てて変わりゆく姿として数日前に梅田・大阪駅前の写真をエントリーしましたが、大変身の真っ最中ということでは阿部野・天王寺も負けてはいません。建設中の「あべのハルカス」は、完成すれば地上300m日本一の超高層ビルとなるそう。それをランドマークに据え、街の姿は激変しつつあります。
しかし、JR天王寺北側には、いまでもこんな昭和の香りが濃く漂う飲み屋街が残っていたりします。
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撮影は日曜日の正午過ぎ。ここは飲み屋さんばかりなので昼間はほとんどの店が閉まっており、通る人影もまばら。アーケードの天井にはテント地が張られ、日に焼けて変色したそれは商店街全体を、琥珀色にも似た柔らかな黄色い光で満たしていました。
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すこし暑い日でしたが、アーケードのおかげで商店街の中は涼しく、街の喧噪も遮られ嘘のように静まり返って非現実な雰囲気。
その時ふと「子宮の中にいるみたいだ」なんて空想が浮かんできました。
そこかしこにある「公衆トイレ」の看板の意匠に魅力を感じ、何度もカメラに収めました。文字が何ともいえない存在感を放っています。
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昼間はこんなに殺風景で寂しいアーケードですが、夜になればきっと沢山の飲み客で賑わい、さまざまな色の光に満たされるのでしょう。
人々を温かく迎え、そのこころを揉みほぐして「さ、明日からも元気に生きるぞ!」なんてふうに意気を育ててくれるのですから、ここはまさに「都市の子宮」なのかもしれません。